ブラック企業シリーズ①~つながらない権利~
column
- コラム
つながらない権利
W-GYMの顧問医師が現代社会の闇にメスを入れる!
「ブラック企業シリーズ」のスタートです。
初回は「つながらない権利」。
仕事用PHS
医療スタッフは、大きな病院ですと
ほとんどのスタッフに院内PHSが渡されており、
基本的にいつでもどこでも
すぐに電話を取ることが義務付けられています。
最近知り合いに聞いたところ、
大きな会社でもそのようなPHSを
持たされている場合があるそうです。
それでなくても、電話やメールに
即応することを期待されています。
そして、それがオフの時間であっても
そうであるところは多いと思います。
健康を害する仕事の連絡
まず、このようにいつでも即応する義務というのは、
働いている人の健康を損ないます。
たとえば、フランスでの調査では、
時間外に飛び交う仕事関連のメールは
就労者の健康に悪影響を及ぼし、
疲労を増悪させると報告されています。
実際フランスでは、2016年に
「つながらない権利」
を盛り込んだ法案を議会で可決したそうです。
従業員50人以上の企業に対して、
仕事が休日や帰宅後の時間まで侵食することが
ないように新たな定款を定めることを
求めるというものです。
ほとんど要らない!
勤務中の電話、メール、勤務時間外の連絡について
みなさんの状況はどうでしょうか?
僕も以前平均して15分毎に電話がかかってきて、
かつ、休日に上司からラインで10通ほどの
仕事の指示が飛んでくる職場にいましたが。
常に頭はマルチタスク状態、
友達からの連絡を見ようとしたら
上司の指示が入って
緊張のスイッチが入るわけですから、
ボディーブローのように体にきました。
こういう事実をある日知ったときに、
本当に今すぐに応えなきゃいけない、
緊急性のある連絡はどれほどだろうと
1週間集計してみたんです。
僕の場合は0%でした。
緊急性のある連絡は直接僕のところにきて
直接伝えてくれたことが多いですし、
休み中の仕事の連絡は週明けの朝に話せば
事足りることでした。
これは体験に基づいた私見ですが、
その連絡を今しても、あとで合間にしても、
多くは結果は同じだと仮定すると、
そんな連絡がいつでもどこでも飛び交っている状態は、
ただ働いている人の健康への害を生み出しているだけ、
とも言えます。
現状を俯瞰してみよう
みなさんも連絡に振り回されているなと感じたら、
どうでもいい連絡が多くないか集計してみてください。
びっくりしますよ。
逆に言うと、オンコール体制などの
特殊な当番などのケースを除いて、
連絡を即応するように求める仕事は
そもそも依頼を受けるデメリットが大きいです。
また、そういう状態に置かれている方は、
一度セルフモニタリングしてみてください。
「連絡の時間帯を予め伝えておく」
「プライベートのアカウントとは別にしておく」
など、ご自分で小さく変えて、
つながらない状態に
徐々に作り上げてみてください。
これは僕の経験ですが、
少し変えるだけでだいぶ変わりますよ。
【顧問医師】