「免疫力アップ」という言葉にご用心
column
- コラム
コロナ禍において「免疫力」という言葉が
一般的にも聞かれるようになりました。
「〇〇で免疫力アップ」とか
「免疫力を高める〇〇」といった
怪しげなうたい文句の商品やサービスが
増えてきました。
ところで「免疫力」とは何でしょうか?
免疫力ってなに?
免疫というのは、
「疫(病気)から免除されている」
という言葉に由来します。
この時点で「免疫力」という言葉は
どうもよく分からない表現であることに
お気づきになられることでしょう。
そもそも免疫とは身体の防衛システムのことです。
とても簡単に言ってしまいましたが、
そのシステムというのは非常に複雑です。
それだけで学問となる分野ですから、
ネット記事で簡単に説明が
つくものではありません。
なので、「これさえしておけば免疫力が高まる」
というのはやはり怪しい表現であると言えます。
本来は「免疫系」あるいは「免疫機能」
という言い方が適切なのです。
ですから、ネットで「免疫力」について
述べている記事を見たら
全てスルーしても構わない
と言っても過言ではありません。
自然免疫系と獲得免疫系
免疫系は、侵入してくる病原体(ウイルスも含む)
から身体を守る為に働く防衛軍の様なものです。
この免疫系は、
自然免疫系と獲得免疫系に分けられます。
獲得免疫系は今話題のワクチン接種も含まれます。
要は自然免疫系でカバーできないものから
身を守る為のシステムです。
自然免疫系は読んで字のごとく、
既に私たちの身体に備わっている
防御システムのことです。
例えば皮膚や粘膜も自然免疫系として
外敵から身体を守ります。
皮膚を傷つくと消毒しないといけないのはその為で、
皮膚は普段は外的から守ってくれていますが、
裂けてしまうと外敵の侵入が容易になるのです。
そして有名なNK細胞などの
特殊な細胞による防御システムや、
体内のタンパク質たちも
自然免疫系として働いてくれています。
免疫機能を正常化する為に
免疫機能が正常に働くかどうかは、
しっかり栄養と睡眠がとれていて、
適切な運動と入浴の習慣があって、
ストレスのマネジメントが
上手に出来ているかが鍵となります。
栄養
栄養は身体を作りますから
皮膚や粘膜をも作る材料になるわけです。
睡眠
睡眠をとらないと疲れが抜けませんね。
疲れている状態では免疫機能が正常ではありません。
入浴
入浴しないと深部体温を高めるチャンスを失います。
体温の低下は細胞の活動に悪影響があります。
ストレスマネジメント
ストレスマネジメントが上手にいかないと
交感神経が優位な状態が続いてしまい、
血流が制限されてしまいます。
ストレスが悪いというよりも
その捉え方や対処法をどうするかを考えましょう。
運動
ハードな運動の後は一時的に免疫機能が抑制され、
感染のリスクが高まるとされています。
一般的には中程度の有酸素運動が
免疫機能を高めるとされていますので、
ゼェゼェハァハァ言うような運動をするよりは、
気楽に出来る運動をすることが良いでしょう。
もちろん俗にいう筋トレも有効ですが、
これもハードに追い込むよりは
心地よいと感じる程度に留めておき、
大きく伸び伸びと動くことがおすすめです。
運動の習慣化が好循環を生む
適切な運動が習慣化されていれば、
自ずと食事内容や睡眠の質も
整いやすくなりますし、
気分も良くなるので
どうでもいい不安や苛立ちから
解放されることでしょう。
その上で、手洗いうがいを励行し、
人混みを避ける工夫をするとより安全です。
これはコロナがどうこうではなくて、
あらゆる脅威から身を守る為の策なのです。
トラブルを最小限に抑えよう
どれだけ気をつけていても、
トラブルというのは突然やってきます。
どれだけ備えていても
中には非常に厳しいトラブルに
見舞われることもあります。
そのトラブルの被害を最小限に抑える為に、
日々の取り組みが重要に
なってくるということでしょう。
自分の身体は愛すべき自国で、免疫系は防衛軍です。
普段演習していない軍に自国は守れませんね。
こんな単純な話ではない!
という意見もあるでしょうが、
研究者でもないのに
そんな複雑に突き詰めている暇があれば、
今申し上げた様な、運動、睡眠、食事、
ストレスマネジメントに関する取り組みを
している方がよいと、個人的には考えています。