信じ切るとそこで終了!―あふれかえる健康の知識 前編―
column
- コラム
健康に関する膨大な情報のどれを信じたらいいか
迷っている方に対してのお話です。
執筆:顧問医師
科学の知識は特に21世紀に入ってから
加速度的に増加していて、
インターネットで検索しても、
矛盾した情報がリストに載って
戸惑ったりすることもあるのではないでしょうか。
あまりにも多くてそれぞれの真偽を
いちいち調べてられないし、
その結果、何が正しいかわからなくなった
ということはありませんか。
結論を言うと、体に関するすべての情報が
正しいのかを検証するのは、物理的に無理です。
例えば、一時期流行した水素水という飲み物があります。
実は水素水に医学的効果があることがわかっています。
しかし、以前消費者庁の景品表示法違反と
みなされた事例では、
水素水によりダイエットができるといった
効能がうたわれていました。
この内容に関連した研究結果で言うと、
糖尿病モデルマウスでの動物実験では
体重の減少が認められたという報告はあります。
しかし、動物実験は確かに一つの根拠にはなりますが、
それが人間に当てはまるとはかぎりません。
これを細かく解釈するのは手間がかかります。
しかも、水素水だけでも、
データベースで調べると2000年以降
爆発的に研究結果が増加しています。
情報の中には解釈を間違えたり、拡大解釈したり、
大部分は正しいが一部は間違えていたり、
多くの領域の研究をつぎはぎにして解釈したり、
誤謬があったりさまざまな形があります。
このコラムでは根拠のある内容を紹介していきますが、
最終的にはどうするか
自分で決めなければなりませんし、
W-GYMでは皆さんに自分で考えて
決められるようになってほしいと思っています。
医療現場の経験的知識ではありますが、
決めるときに、ある視点を持っていただくことは
かなりおすすめです。
それは、身体へ何かの影響を与えると、
多かれ少なかれかならず副作用があるということです。
副作用とは厳密には、よい作用も含みますが、
ここでは予期しなかった悪い作用
という意味で使っています。
それは時に体以外にも作用することもあり得ます。
それは費用や時間の浪費
という形をとる場合もあります。
例えば、確率はものすごく少ないですが、
ほぼいかなる薬でもアナフィラキシーが起こり、
一定の確率で死亡します。
検査ですら副作用があります。
尿検査は血液検査と比べて針を刺したりしませんが、
排尿後だと検体が取れませんし、
食事後だと意味がない場合があります。
尿閉などで尿が出ない人は採取が大変になるわけです。
効果を目にしたら、それをすることによって、
どんな副作用があるだろうか、
どんなマイナスが自分の生活にあるだろうか、
といったことを想像してみてください。
副作用が効果に見合わなかったりすることも
意外とあることに気づくと思います。
そうなると例え効用が正しくても
自分にとってはやらないほうがいい
ということが出てきます。
逆に言うと、
確かに効用があるといわれているものですら、
一律すべての人に当てはめたりすることは
想定外の副作用を生む危険があるわけで、
医療現場ではそうならないように
本当に当てはめていいかのチェックに
膨大な手間がかけられています。
本当にそれが自分にとって必要なのか
考えてみてください。
そして、試してみたら、
必ず検証してみてください。
主観的によくなった!ではなく、
何がどう改善したのか、
日中眠気の回数が減った、
睡眠時間が長くなったなど
数字にできる指標があるといいと思います。