科学の売春~前編~
column
- コラム
皆さんは「科学的根拠のある」を謳った健康商品が
コンビニからスポーツジムまで氾濫していることに
お気づきでしょうか?
「エビデンス」という言葉も一般的に
よく使われるようになりました。
ちょっと前まではそんなものは
あまり目に付かなかったように思います。
今回はそんな現状について考えていきます。
科学的根拠が売りってどうなの?
科学的根拠に徹底的に踏まえた製品には
共通点があります。
それは「科学的根拠を売りにしていない」
ということです。
何故かと言えば
「これは科学的根拠がある薬です!」
というおかしな表現になるからです。
科学的根拠のない薬なんて意味が分かりませんからね。
ただそれを売りにしていないとしても、
科学的根拠があることには違いないわけです。
更に言えば消費者は科学的根拠があるから
よいものなのだという風に捉えがちです。
では仮に科学的根拠に則ったものであるとして、
本当にそれだけが私たちの判断基準となってしまって
いいのでしょうか?
答えはNOです。
本当にメリットだけがあるの?
健康食品を例に考えてみましょう。
膝の痛みに効く食品やサプリメントがあったとして、
そもそも人間の体に何かを投与することで
メリットだけが得られるのかという問題があります。
こんな話をすると、
「薬も治療も何もせずあるがままに
生活しようという科学を否定するのか」
と言われることがあります。
いいえ、それは全然違います。
極めて科学的な話です。
人体は小宇宙
人間の体には天文学的な数の相互作用があります。
さらに変化が起こったときの
フィードバックのループが無数に起こります。
そしてそれら全ての因果関係を分析するのは
もはや不可能だと証明されています。
つまりものすごく複雑なのです。
人体のことを「小宇宙」というのも納得です。
単純に言ってしまえば、
外部から別の因子を加えたときのメリットだけではなく、
副作用(デメリット)についても気をつけた方がいい
ということです。
必ず予測できない現象が起こる可能性があるのです。
例えば身体によいとされているカイロプラクティックが
脳梗塞の原因になるかもしれないという
その界隈では有名な話もあります。
そんな商品が必要か?
この様に考えると、健康の為に出来ることは
「科学的根拠がある」とされる商品に
安易に飛びつくことではないことが分かりますね。
今あるものを減らしたり、少しだけ増やす方が、
副作用が予測しやすいですし、
色々な面で負担が少ないと考えられます。
また副作用があったとしても、
少しの変化であればそれを吸収するメカニズムが
私たちの身体には備わっているかもしれません。
科学の売春とはいったい?
今回のお話は複雑な問題解決を試みる時に
おススメのシンプルなコツです。
次回更新の後編では表題である
「科学の売春」とは果たしてどういうことなのかに
迫っていきます。
【顧問医師】