ブラック企業シリーズ③~40時間の壁~
column
- コラム
W-GYMの顧問医師が現代社会の闇にメスを入れる!
「ブラック企業シリーズ」第3弾です。
長時間労働とは?
長時間労働とはよく聞く言葉ですが、
果たしてそれは何時間くらいなのでしょうか。
人によっては一日10時間は仕事していて
大丈夫という人もいるし、
いや定時で帰りたいという人もいるでしょう。
身体に害悪な労働時間とは?
言い方を変えて、体に悪影響のある労働時間は
何時間くらいでしょうか。
実はそんな疑問をもとにした研究は
とっくの昔に行われていて答えが出ています。
半世紀以上前に行われた研究では
週40時間以上働いた男性労働者では、
心臓発作の発生率が通常より
高いことが分かっています。
この調査では、イギリスの公務員で、
心疾患の既往のない7100人を
10年にわたって観察したもので、
平均一日10時間以上働く人は、
8時間労働の場合より心臓発作の発生率が45%高く、
一日11時間働く人は67%も
高いことが分かっています。
これは相関関係ですが、
心臓発作を起こしやすい素因がある人が
長く働くことを好むというのは考えにくいので、
おそらくその逆でしょう。
40時間の壁
カルフォルニアで行われた調査では、
労働年齢の24000人以上を対象として、
週労働時間と自己測定の高血圧の間に
相関関係が認められました。
週労働時間が41-50時間の人は
11-39時間の人に比べて、
血圧が高いケースが18%多く、
週労働時間が51時間以上の人では
29%が多いことがわかりました。
いずれの研究でも40時間を境に
リスクが上がり始めるようです。
皆さんは、この数字をどう思われるでしょうか?
40時間というと、
フルタイムで残業をしなかったときと
同じくらいの時間です。
つまり残業が発生すると健康へのリスクが
あがっていくということです。
僕は実際の生活に当てはめると、
意外と短いんだなと思いました。
この結果をどう捉えるか?
これらの研究の意義は、
自分の主観的な余裕と切り離して、
客観的な数字を知っておくことにあります。
なぜなら、労働は職場の空気や、
上司、仕事の量などさまざまな
外からの影響で振り回されてしまいがちで、
周りに流されていたずらに
労働時間が長くなってしまうからです。
自分が体調を悪くする大体の目安を知って
自分でスケジュールを決定する
根拠をもっておく必要があります。
【顧問医師】