音楽と患者(後編)
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- コラム
前編では、音楽の効果によって、
病院での治療の不安や緊張、痛みが低減され、
患者と医療者間の緊張感も和らげる
という効果をご紹介しました。
詳しくはこちらをお読みください。
音楽と患者(後編)
今回は後編として、音楽の沈静効果をご紹介します。
鎮静効果とは、ざっくりいうとぼーっとすることです。
実はこの沈静効果は薬でも引き起こすことができます。
よく麻酔をするときに使われます。
ある一定の鎮静度にするために必要な量は人によって、
あるいは状態によって違います。
ある研究では、局所麻酔で膝の手術を行うとき、
軽い鎮静状態になる鎮静薬の必要量を測定したところ、
音楽を聴いた時の方が、少ないことがわかりました。
僕個人としては、これは少し驚く結果です。
鎮静薬は劇薬です。
その使用量は少ない方が身体に負担が少ないので、
減らせられるなら減らしたいというのが本音。
これが音楽によって感覚的ではなく、
明確に効果が得られるということなのです。
さらに、この音楽は患者の裁量で
決められると良いという研究者もいます。
医学では鎮静効果はよく使われます。
麻酔の他に、閉所恐怖症の患者さんを
M R I(狭い筒の中に入る画像検査)で検査する時、
あまりの恐怖に鎮静薬を投与して、
ぼーっとする状態を作り出すこともあります。
以前一緒に働いていた上司が、
M R Iの検査を受けた時、
技師さんに頼んで検査中は
自分の好きな曲のC Dをかけてもらっていました。
音楽による鎮静効果が
なんとなく感覚的にわかっていたんでしょうね。
腑に落ちました。
ただ、患者さんには検査中の曲は
選べないようになっていたので、
役得と言ったところでしょうか。
今回ご紹介した様な極端な事例でなくとも、
心を落ち着ける為に音楽を活用するというのは
かなり効果が高いと言えそうです。
不安な日々が続いているとか、
少しイライラしているとか、
そういった場合は音楽を聴いてみると
いいかもしれませんね。
【顧問医師】