皆さんは脳のMRIを見たことがあるでしょうか？
脳の中を鮮明に輪切りにして評価できる、
現在最も詳細に調べられる画像検査である
脳のMRIは本当に鮮明に脳の形が見えます。
脳の中の構造が色分けされているような検査です。
私は医師として日常的にこれを使うのですが、
脳の形や萎縮の具合で、
大体患者さんが何歳くらいかわかります。
パティシエが、目分量で正確に粉のグラム数を
当てるような感じですね。
（そんなに精度は高くありませんが……苦笑）
そんな脳のMRIを見ていると中には若くても
こんなに脳が萎縮しているのかと思う人や、
９０歳でも２０歳代のような状態の方もいます。
病気による萎縮もあるので、
一概にどうすれば若々しく保つことができるのかは、
結構難しい問題です。
しかし興味深い研究結果がありますので、
今回のコラムではそちらをご紹介します。
平均年齢２０代半ばの人々に対する調査研究ですが、
プロの音楽家、アマチュアの音楽家、
非音楽家の脳年齢を測定しました。
非音楽家は、実年齢とほぼ一致すると推定して、
プロの音楽家は平均して、
実年齢より３歳半若いと推定されました。
興味深いのは、アマチュアの音楽家です。
脳年齢は実年齢より４歳半若いと推定され、
プロよりも長かったのです。
プロよりもストレスの少ない音楽演奏は、
健康を一番促進するということがわかりました。
研究者は、音楽演奏が、
ドーパミンと呼ばれる感覚運動機能、
学習、記憶、感情といった機能に
必要とされるホルモンが活発に
分泌されるからという人もいます。
被験者の年齢も若い研究なので、
これをもって、認知症を予防しうるとかは言えませんが、
現象としては興味深いですね。
【顧問医師】