本当の美味しさとはなにか②
column
- コラム
前回のコラムでは、
パーキンソン病を患っている
70歳男性の症例をご紹介しました。
今回はその続きです。
シリーズでお届けしておりますので、
是非、前回記事をお読み頂いた上で、
以下より続きをご覧ください。
この70歳男性に襲った症状の犯人は
病気ではありませんでした。
パーキンソン病は、
脳内のドーパミンの分泌細胞の変性が起きて、
その分泌量が低下するメカニズムで起こります。
ドーパミンは運動に作用するホルモンです。
研究者たちは考えました。
ドーパミンの分泌が減少しているのであれば、
補充すればよいのではないか。
そうして作り出されたのが
L-DOPAを代表とした抗パーキンソン病薬です。
彼はその内服をはじめました。
ところが、このようにドーパミンには、
快感を感じたとき、
欲求を刺激する機能もあることがわかったのです。
これらの症状は薬の副作用だったのです。
つまり私達が、何かを「ほしい!」と感じるとき、
ドーパミンが分泌されているわけです。
さらに踏み込むと、
ドーパミンは、ほしい>好き
という衝動に強く作用しています。
私達が快感を感じるとき、
その快感が強ければ強いほど、
もう一度その快感を感じたいがために、
同じ行為をします。
ですが、ここが悩ましいところで、
回を追うごとに感じる快感は減っていきます。
脳が刺激に対して鈍感になっていくのです。
減っていくために、追い求めて、
繰り返してしまいます。
これを病的になるまで繰り返した状態を依存症といいます。
依存症という言葉から離れると、
同じメカニズムは普段の私達の
日常生活で常に起こっています。
俗に言う「中毒性のある」ものに
私達はこのメカニズムで反応しています。
ここからは僕の考察ですが、
快感をベースとした行為を繰り返すことは、
その種類がどんなものであれ、
自分の身体に害を与え、
ときに破滅させることになってしまう
という点で共通しています。
言い換えれば、ギャンブルやゲームといった
身体に直接関係がないものでなくても、
そうなると考えられます。
たとえば、ゲームをして長時間座っていることで
肺塞栓症になって死亡したケースもあります。
そこまで行かなくても、
自分の身体の事を考えられなくなって、
病気に気づかなくなる、
理性的な判断ができなくなって、
身体を動かしたり、
健康の維持に不可欠な習慣が形作られなくなっていく、
あるいは消失してしまうといったことが考えられます。
運動を習慣づける、栄養のある食事をとる、
十分な睡眠といった皆さんの目指す
体作りに邪魔をする存在と言えます。
ですから、ぜひそのメカニズムを深く理解し、
対策を考えましょう。
つづく