ネットのダイエット情報に潜む闇
column
- コラム
タイトルが少々センセーショナルというか
尖って見えるかも知れませんが、
今回のコラムは代表トレーナーの前田が
業界人として思うことを嘘偽りなく書きます。
溢れるダイエット情報
もしかしたら「ダイエット」とか「ボディメイク」
といった類のものにご興味があって、
こちらのコラムへ辿り着かれたかもしれません。
しかし恐らくここに辿り着くまでには、
他のメディアにもかなり多く
触れてこられたのではないでしょうか?
それくらいこの類の情報は多くの人が公開していますし、
YouTubeを始めとする動画コンテンツでも紹介されています。
これだけ多くの情報が溢れているのに、
未だに検索というかネットを
サーフしているのは何故だと思いますか?
それは、ネットに溢れかえっている
ダイエット情報のほとんどが、
一時しのぎ的なものだからです。
だって、色々見たのに結果が出てないから、
まだ検索を続けるのですよね?
厳しい言い方かもしれませんが、そういうことです。
煽動的なタイトルで魅了する記事たち
例えば「〇分で腹筋を割る方法」
という風にタイトルを付ければ、
そのセンセーショナルなタイトルにひかれて
たくさんの人がそのメディアを閲覧します。
閲覧数の多いメディアは上位表示される可能性が高くなり、
皆様の目にも届きやすくなります。
これはビジネス手法としてはとても理にかなっているのですが、
残念ながら「〇分で腹筋を割る方法」が現実的でないことは
冷静に考えれば理解できるはずです。
他にも、「〇〇するだけで△キロ痩せる!」とか、
「痩せる食べ物!」とか、
ハッキリ言って意味不明なタイトルにも拘らず、
ネット上では人気になる記事や動画が沢山あって、
それが罪と専門的知識のない方に届いてしまうのです。
ネットの仕組みを理解し、
閲覧数を増やすテクニックを駆使すれば、
意味不明な情報でも上位表示されるというのが現実です。
残念ながら「〇分で腹筋を割るなんて嘘だ!」
という動画はあまり伸びません。
(そういう動画を配信している人は全力で応援しています!)
これは闇が深い問題だなと思います。
未だに影響力のあるテレビ
芸能人の誰かが体重を落とした方法だとか、
もし仮にそれが本当の情報だとしても、
芸能人というのは非常に特殊なお仕事であって、
撮影までに体重を落とす必要があるとか、
それはアスリートが取り組んでいる手法同様に、
極限のものであると言って差し支えないでしょう。
そんな尖ったテクニックを実践するには、
非常に強い精神力が必要であると同時に、
健康を害するリスクもあるということを
知っておかねばなりません。
でも、先述の通りメディアの影響力は非常に大きいですし、
さすがに上手く編集されています。
ボーっとテレビを見ているだけでは
「私もその方法で〇〇さんみたいになりたい!」
という風に思ってしまうのです。
注意が必要ですね。
運動指導者にも問題大有り!
さて、ここまでは情報を発信する側の問題と、
それを受ける側の問題についての話ですが、
ここにもう1つ問題が潜んでいます。
それは、パーソナルトレーナーを含めた
実際に現場でレクチャーする運動指導者の問題です。
語弊を恐れずに言えば、
悪意や商売っ気たっぷりのメディアの情報を、
純粋なハートで受け取って踊らされた
視聴者の心をそのまま悪用して、
「うちで芸能人の〇〇さんがやっているのと同じ
ダイエットメソッドをしたら結果が出ますよ」
なんて言って集客しているような
パーソナルトレーニングジムなどがあるということです。
あまり他者を否定することは好きではありませんが、
体重を落とす為に健康を害する手法
(例えば過度な糖質制限など)や、
効果があるかどうか不明ばかりか
身体を痛めるリスクのある
トレーニング方法(例えば腹筋ばっかりするとか)
みたいな、稚拙なセッションを展開している
指導者は非常に多いようです。
原理原則に基づいたプログラム提供を
トレーニングには「個別性の原則」というものがあり、
個々の事情に合わせて
(例えば性別、年齢、生活習慣、運動歴、性格なども含める)
プログラムを構築せねばなりません。
そして「特異性の原則」という原則もあり、
その方の目的に見合った手法を選択する必要があるということも、
”ちゃんとした”トレーナーの中では常識です。
更に言えば、本当にダイエットというか
体重を落とす必要があるかどうかという問題もあります。
つまり、事情やアプローチ方法は個人個人で
変わってくるということであって、
ネットやテレビで取り上げられた
ある1つの手法だけで解決するわけはないのです。
だから、というわけではありませんが、
当店のコラムではテクニックを紹介することはあっても
「こんな方法もありますよ」くらいの、
緩い感じでしか情報を発信していません。
プログラムは一緒に創り上げるモノ
もしかしたら早く「結論を教えてくれよ」
と思う方もおられるかもしれませんが、
ここまでの話の通り、結論は人それぞれ違うので、
むしろ「あなたの状況を教えてください」
というのが指導者側の本音ということになります。
双方向での(カッコいい言葉で言うとインタラクティブな)
情報の交換ができて初めて個人に見合った
プログラムが構築できます。
お客様のご要望に対してトレーナーの提案がある
というのが基本構図ですね。
何かを押し付けるようなプログラムというのは
パーソナルトレーニングとは言えないでしょう。
情報過多の時代、少々厳しいようですが
情報を受け取るリテラシーが問われます。
まずは全ての情報を一度疑ってかかるところから
始めてみるとよいかもしれません。