平均寿命
column
- コラム
例えば、ある国で平均寿命79歳だとすると、
典型的に健康な状態で79歳になった方は
あと確率的にどれくらい
生きることになるのでしょうか。
答えは、あと10年です。
平均寿命に達したからと言って、
いきなり人生が終わるわけではないんですね。
そこまで生きると、
その人個人の平均寿命は
それより少し伸びることになります。
一方、日本人の平均寿命は、
100年前の1920年には
男性42歳、女性43歳くらいでした。
ちなみに人口は今の半分以下でした。
死因は多い順に肺炎または気管支炎、
胃腸炎、結核と続きます。
今、40歳代で亡くなる方がいらっしゃったら、
若いと思ってしまいます。
でも昔はそれくらいだったんですね。
この年齢で亡くなるとなると、
ほとんど老化を経験しないで
人生を終えることになります。
たとえば、がんの治療法で、
優れた治療である指標は、
がんを治療してから5年たった後の生存率、
5年全生存率とされています。
ある意味医療は5年全生存率を
上げることに全精力を傾けてきました。
しかしどうでしょう、
昔より、近しい人を失うという
喪失の機会が身近でなくなったかもしれませんが、
人生の最後に、長生きはしていても、
病気だらけ、怪我だらけの患者さんもたくさんいます。
健康寿命(生涯でどれだけ健康でいられるか)
という言葉がありますが、
個人的にはそちらのほうが
大切なのではないかと思います。
寿命を延ばすだけの一部の医療行為は、
数字だけ寿命を延ばしている可能性はあると思います。
もちろん、その人がどういう人生を生きたいかは
その人自身が決めることなので、
より長く生きていたいという希望に
応えようとすることは大事だと思います。
しかし、そもそも、
病院に来る前にできることはたくさんあって、
原則としては、病気の大半は、
食事や運動である程度予防可能であることを
忘れないでください。
【顧問医師】