車椅子バスケ漫画の正当性
column
- コラム
以前のコラムで、トレーニングを家族や他の人と
一緒にやることの効用についてお話しましたが、
今回はそれについての補足のお話です。
執筆:W-GYM顧問医師
実は、仲間と一緒にいると、
目の前の坂の勾配が緩やかに見えるようになる
現象も報告されています。
仲間とトレーニングすると、トレーニングの心理的な
ハードルが下がるわけです。
もちろん、現実的には坂の勾配は
緩やかになっていませんから、
挑戦しやすくなって、挑戦しさえすれば、
もし乗り越えられたとき、
得るものは大きいことになります。
例えば、普段の仕事では、
人によってはチームで働いていても
なかなか他の人と一体となっている感覚を
体験するのは少ないかもしれません。
僕は独身なのでいつも一人でトレーニングをしています。
そんな中先日、どちらも未経験ですが
テニススクールとバスケットボールの体験に行きました。
チームと一体となった独特な感覚を感じました。
仕事では、ほとんど個人プレーですので、
日常生活において唯一と言っていい経験でした。
一例ですが、チームプレーのスポーツは
人と一体となって自分の限界に挑みやすくなる
手っ取り早い手段といえます。
他にも、井上雄彦さんの「リアル」という漫画があります。
主人公の高校生の男の子は、ある日突然障碍を負い、
車椅子バスケットボールに挑むというストーリーですが、
そもそもリハビリから話が始まります。
そこでは同じように障碍を負っていた
元プロレスラーが登場しますが、
彼は困難なリハビリにも決して弱音を吐くことなく、
周りの人間を感化させていきます。
この漫画では、このコラムで紹介した、
自分はいつも成長している途中だと考える
成長型マインドセットや、
困難にへこたれないレジリエンスといった内容が
あますことなく表現されています。
結果的にリハビリに消極的だった主人公や
他の仲間達と一緒にリハビリをこなしていって、
ハードルを越えていくわけですが、
これも他者と一緒に身体づくりをしていくという過程が
克明に描かれていて、たとえ逆境に陥っていなくても、
自分にもできるんじゃないかと思えてきますし、
自分の身体と向き合うことで、
自分自身を変えていくプロセスが
生々しいほどリアルに描かれています。