「体幹が弱い」について②
column
- コラム
「体幹が弱い」について考えるシリーズ、
第2弾をお送りしします。
(何弾まであるかは筆者にも不明)
前回のコラムについてまだお読みでない方は、
是非ご覧になってからこちらのコラムをご覧ください。
さて、前回投げかけた以下の様な問いに対して
まずは回答例を示しておこうと思います。
そもそも「体幹」って何やねん。
そもそも「弱い」って何やねん。
何をもって「体幹が弱いですね」やねん。
問いは3つありますから、簡単に3つ回答しましょう。
①体幹とは頭部と四肢を除いた部位のことを言う
②「弱い」というのはかなり抽象的。
③つまり「体幹が弱い」はよく分からん
話を分かりやすくするために、
先のコラムの実例についてもう少し詳しく言及します。
Aさんは格闘技でキックをする際に
身体がふらつくというのがお悩み。
これを某コーチは「体幹が弱い」と表現したんですね。
だからAさんは体幹のトレーニングに励まれました。
もちろんそのコーチに提案されたプログラムです。
有名なところで言うと上体起こし(腹筋運動)とか、
プランクとか、上体反らし(背筋運動)とか、
そういう類の運動に励まれたわけです。
さて結果はどうでしょうか。
Aさんの問題点はキックで身体がふらつくことです。
コーチの助言が適切なものであれば、
キックの動作が安定するはずです。
しかし……
……何も変わらんやん!
しかしそのコーチはAさんに、
「トレーニングが足りひんのちゃうか?」と。
そういう話をしたそうです。
Aさんは真面目な方ですから
「そうか、私の努力が足りないのだ」と、
先述の様なトレーニングの量を増やされます。
……何も変わらんやん。
何ならトレーニング量が増えて回復が追い付かず、
疲れがたまる一方。
そうなるとキックの精度が落ちるに決まっています。
そんな状況に陥っておられたある時、
当店にお越しになられたわけです。
さてさて、どんなものかと身体の状態を見てみると、
確かに姿勢がいいとは言えない状態ではあります。
しかしそれは「真っすぐ立つ」ということが
どういうことかがよく分かっていない状態とも言えます。
そんな状況であれば、急に片脚支持になって
まともなキックを放つことは到底無理だろうと、
私にはそんな風に見えました。
某コーチは「ふらつく」=「体幹が弱い」
という発想だけを持ち合わせておられたのでしょうが、
それはとんでもない勘違いと言わざるを得ません。
何故ならそれが的確な指摘なのであれば、
Aさんのパフォーマンスは向上しているはずだからです。
確かに体幹(胴体)部分の筋力が
著しく低下しているならそれは問題があります。
しかしそれとキックでふらつくということに
果たしてどれだけの関係があるかということは、
よくよく考えて物を言わないといけないでしょう。
さて、Aさんは当店にお越しになられてどうなったか?
これは次回の記事に預けることにしましょう。
今回のコラムで皆様に知って頂きたいのは、
「体幹が弱い」という発言はよく分からないものであって、
その対処法として俗に言う体幹トレーニングをすることが
適切とは限らないどころかむしろ疲弊するだけ
かもしれないということです。
私は無駄なことはないとは思っています。
全てのことに何かしらの意味があるはずです。
しかし努力の方向性は定めないと
せっかくやってきたことが無駄に感じてしまう
ということが起こります。
特にスポーツをしている人からすれば、
そのパフォーマンスが高まることが目的でしょうから、
やっているのにパフォーマンスが向上しないというのは
何かやっていることがおかしいと思うようにしましょう。
続きは近日公開の次回コラムで!
最後までお読み頂きありがとうございます。
【代表トレーナー】