ブラック企業シリーズ④~長時間労働の実利的なメリット?~
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- コラム
W-GYMの顧問医師が現代社会の闇にメスを入れる!
「ブラック企業シリーズ」第4弾です。
長時間労働の理由
長時間労働のデメリットは無数にありますが、
せざるを得ないと思っている人にとって
大きな理由はやはり、
仕事が多い、長時間働けば成果が出る
というのが結構あると思います。
長時間労働で生産性は高まる?
そもそもどれだけ長く労働すると
どれくらい仕事が進んだり、
生産性がアップするのでしょうか?
古いデータですが、第一次世界大戦中、
イギリスの軍需産業労働者保健委員会が
軍需工場で働く工員の生産性を調べたデータがあり、
これをスタンフォード大学の研究者が分析した結果、
最適な労働時間は48時間で、
これを超えると、仕事の実績は
低下していくことがわかりました。
「は?」と思われるかもしれませんが、
つまりは上記の問いの答えは、
アップどころか、「マイナスになる」です。
多くの仕事をやり遂げようとして、
度を超えた量の仕事をすればするほど、
むしろ逆に、やり遂げた仕事の量が減っていくばかり、
ということです。
長時間労働にメリットはない
もちろん、度を超えた量の仕事をすると、
重大な病気にかかりやすくなります。
重大な病気になると仕事の継続も難しいので、
なおさら結果が出にくいわけです。
僕も朝7時から夜の12時くらいまで、
昼休み15分以外はPCにずっと向かいっぱなしの
仕事をしていた時期がありますが、
夜8時以降のソフトウェアへの入力は、
ミスが10%以上になり、
そのミスをチェックするための時間が
どんどん必要になっていきました。
頭がもうろうとして仕事をしているので、
チェックすらも(おそらく同じ割合で)
ミスをしていき、ミスが際限なく
増えていく状態になっていました。
また作業を見直したりする余裕も失われ、
効率の悪い方法をひたすら繰り返す
という状態からぬけられなくなりました。
こういった、ミスの増加が長時間労働を
したときの仕事量の低下を引き起こすと
考えている人もいます。
このほかにも、様々な実証研究で、
ある限界値を超えると、
労働時間を減らすほうが従業員の
健康も生産性も向上し、
仕事の質的向上も期待できることが
裏付けられています。
事実を知っておくことが大切
これは僕の考察ですが、
このような事実を知っていると、
あと少しやれば、もっとやらないと
仕事の成果がでないと思いこんでいても、
いや、これ以上やったらできた仕事量が
減ってしまうから帰ろうという
長時間労働への抑止力になるのでは?
と考えています。
仕事をやり続ければやり続けるほど、
仕事が時間に比例して多くこなせる
という予想は破綻していますから、
みなさんも長時間労働の悪魔の魅力と決別して、
身体を守って、末永く成果を出し続ける方向で
仕事の仕方を工夫してみてください。
【顧問医師】