世代ごとに運動量が減っている
column
- コラム
人間はもはや歩行を前提にできていると言っても
過言ではありません。
立位歩行が人間の基本的なポジションではないか、
と思えてくるほど私たちの体は
歩くことに特化しています。
しかし椅子や長時間の座り仕事によって、
現代人は一日中ほとんど座って過ごすことが
多くなってしまいました。
座って過し続けるのは病気になりやすくなり、
かなり体に悪いという研究などを
以前からコラムでご紹介してきました。
今回もその問題に触れていきたいと思います。
歩数が減っている!
では、どれくらい昔に比べて
減ってきているのかという報告があります。
私たちの祖先は毎日1万4000〜1万8000歩
歩いていたと考えられ、
現在では1日5000歩にも満たないとされています。
しかもその数字は10年ごとに減っていっています。
これは個人によって大きく変わってくる話ですが、
例えば毎朝車で通勤して職場に着くなり
ずっと座って仕事をして車で帰ってくる
という生活を続けていませんか?
(この生活習慣を「Door to Door」と呼びます)
これなら1日5000歩いくかわかりませんね。
私も一時期座って仕事をせざる得ない
状況にありました。
1週間くらいで集中力が落ちるなどの
悪影響がありとても辛かったと記憶しています。
さらに、受験生の時は
1日中あぐらをかいて勉強していました。
動くと言えば週に1度外に出て買い物に行く時。
ある日足が立たなくなったことがありました。
そして歩いただけで筋肉痛が生じました。
「Door to Door」ではまともな筋力が
維持できないことを実感してしまいました。
歩数以外も減っている!
ちなみに歩くこと以外にも
あらゆる運動量がどんどん減っており、
それに伴ってあらゆる体力レベルが
低下しているというデータがあります。
スウェーデンの研究では、
平均的な体力は90年台から11%下がっていて、
特に14歳の運動量は2000年と比べて
女性は24%、男性は30%
下がっていることがわかっています。
つまり、この20~30年で、
急激な運動量の低下が起こっていると言えます。
こんなにも運動量(身体活動量)が落ちたら、
精神や認知機能にも影響が出ると思います。
減りやすい環境に生きている!
歩数やそれ以外の運動の低下について見てきました。
しかしここ20~30年の間で
小型のヘリが開発されて歩かなくて良くなったとか、
子供の頃から自動運転のタクシーを
利用しているといった変化はないでしょう。
つまりこれは複合的な環境の変化が
加速度的に起こっていることを反映しています。
通販が発達して店舗にあまり行かなくなったとか、
外遊びしなくても楽しめるゲームが発達したといった
ことは間違いなく起こっています。
私たちは身体活動量が減りやすい環境に生きています。
しかしそれでもご紹介したデータを見ただけでも、
さすがに減りすぎな印象を受けますね。
子どもの運動不足にも注意!
お子さんをお持ちの方は、お子さんの運動不足には
十分注意してあげてください。
先述したように外遊びしなくても楽しめる
スマホやタブレットでのゲームがありますが、
それによってあまりに運動のない生活にしてしまうと、
メンタルが不安定になりやすくなったり、
学校の成績が下がったりと
よくない影響が出てしまう可能性が高いです。
かつてはそんなことは気にしなくても
遊ぶと言ったら外で身体を動かすことが普通でしたが、
そうではなくなっているのかも知れません。
辛い時代に生きているんだなと感じますが、
大人が子どものために工夫する必要があるのは
間違いのないことです。
【顧問医師】