自己内部探訪の旅①「呼吸の感知」~呼吸と自律神経の関係が理解できれば人生が変わる
column
- コラム
- 前田岳人
W-GYM「自己内部探訪」
前回のコラムでは「自分探しの旅」についてのアンチテーゼとして、「自己内部探訪」という造語を用いたお話を展開しました。
「自己内部探訪」とは要約すると、こころとからだは繋がっているという前提に立って、からだの状態を整えることでこころの状態を整えようとする営みを指します。
これは「内観」や「瞑想」といった概念とほぼ合致すると考えて頂ければよいです。
ヨーガや禅、あるいはピラティスを始めとするボディワークが目指すものは、こころとからだを統合し、心身共に健やかで豊かな生活を送ることです。
W-GYMはパーソナルトレーニングジムですが、この様な概念には心から賛同する立場にあります。
その証左として開業以来「美しさは強さ、そして豊かさ」をテーマに、皆様のからだをより良い状態に導くようパーソナルトレーニングを提供しております。
まずはからだを整えるところから全てを開始します。
その為、整体用の施術ベッドや、マット系のエクササイズが十分に行える空間を備えています。
呼吸に関する基本情報
実際にどのようなことをやっているのかは、百聞は一見に如かずということで是非直接ジムにお越し頂きたいのではありますが、今回のコラムでは実際に当店でご提供している「自己内部探訪」の基本中の基本である「呼吸の感知」について文章でご説明してまいります。
何かと呼吸が大切であることは、健康系のメディアに触れている方ならよくご存じのことと思いますし、もしかしたら釈迦に説法かもしれませんが、呼吸についての基本的なお話から始めたいと思います。
呼吸というのは読んで字の如く「呼気」と「吸気」に分類されます。
呼気は吐く息で、吸気は吸う息ですね。
ものすごく簡単に言えば呼気で二酸化炭素を体外に排出し、吸気で酸素を取り込むというのが呼吸です。
これは今この瞬間も無意識的に行われています。
もし無意識的に行われていないとしたら、息の根が止まっている……つまり今頃はあの世にいるはずです。
これが読めているなら大丈夫です。
とは言ったものの、その無意識の呼吸というのがどんな風になっているのかを観察する機会というのはあまりありません。
特に現代人はパソコンやスマホの画面と睨めっこをしていて呼吸が浅くなっていることが多いのですが、それすら気付いていないというのが現状。
呼吸が浅くなることで、二酸化炭素の排出が上手くできず、その結果新鮮な空気を吸い込む余裕がなくなります。
そして呼吸が浅いということは大袈裟に言えば「ぜぇぜぇはぁはぁ」の状態。
例えば緊張している時なんかは「息が詰まる」。
これは呼吸が浅い状態を指します。
呼吸と自律神経
自律神経系の観点から見れば、呼吸が浅いのはまさに「闘争と逃走」を司る「交感神経」が優位な状態。
つまり興奮状態です。
その反対の作用である「休息と消化」を司るのが「副交感神経」ですが、こちらが優位であれば深い呼吸となります。
要はリラックス状態ということですね。
現代人に圧倒的に欠けているのはリラックス。
パソコンやスマホの画面から発せられる光は、交感神経を優位にします。
また同じ姿勢を長時間続けることで、物理的に筋肉の弾力性が失われていき、自ずと緊張状態になってしまいます。
さらに言えば、パソコンやスマホから受け取る情報というのは何かと刺激的であり、イライラしたり不安な気持ちになったりして、これまた交感神経を優位にする作用があります。
こうして私たちは、誰かと闘ったり何かから逃げたりしているわけでもないのに「闘争と逃走」モードに無意識的に突入しています。
そしてそれが通常モードであると勘違いしているのです。
このことが、消化不良を起こしたり、肩こりや疲れを誘発したり、睡眠不足に繋がったりします。
また自律神経というのは読んで字の如く自律的に働いているので、どうにかしようとしてバランスを取ろうと何かしらの反応を示します。
ご飯を食べると消化液が分泌されて、「休息と消化」モード、すなわち副交感神経が優位になりますので、ドカ食いしてしまいがちな人はもしかしたら交感神経優位モードを副交感神経優位モードに切り替える為に、そうなってしまっているかもしれません。
交感神経が優位というのは「闘争と逃走」モードで緊急事態ですから、本来は緊急時にだけ発動すればいい。
サバンナで暮らす動物たちなんかを見ればそれはよく分かります。
普段はグースカ寝ていますが、獲物を狩る時は息を潜め、狩られそうになった時はハッと息を呑んで猛ダッシュをするのです。
そんな交感神経が優位な状態が長時間にわたって続いているのが現代人。
だからといって今更パソコンやスマホを手放すことは相当難しいと言えます。
サバンナで過ごすわけにもいきませんよね。
ですから何か対策を講じる必要があります。
「呼吸の感知」
もうお分かりかと思いますがその対策こそが呼吸を整えることです。
緊張状態で息が詰まるなら、呼吸から整えてその緊張を解いていけばよいという考え方です。
整える為の気付きを得るには「呼吸の察知」が必要です。
何事もまず気付きを得ないことには次の段階には進めません。
ここからは実践を交えながら読み進められることをお勧めします。
まずは寝転がるか椅子に腰かけ、リラックスできる姿勢をとります。
床に座ってもよいですが、床に座ることに慣れていない人は椅子の方がよいでしょう。
大前提として呼吸は鼻で行います。
それだけはお忘れなく。
ではまず何秒息を吐けるかを数えてみてください。
1秒もかからなかった人もいるでしょう。
最初から5秒も吐けたらなかなかなものです。
これが「呼吸の感知」。
きっと自分が息を吐き続けている時間を測ったことなんて今までなかったのではないでしょうか?
こうして気付きを得ることが大切。
次からが本番です。
やることは単に呼吸を繰り返すことですが、吐く息も吸う息も鼻からということは抑えておきましょう。
何回繰り返すかという問題がありますが、厳密な決まりはありませんし目的によってもやり方は異なります。
ただ最初は回数が決まっている方がやりやすいでしょうから、まずは以下の案内に従って5回繰り返してみましょう。
まず鼻から息を吐き出します。
吐き切ったら1回目の吸気。
鼻から息を吸って、喉の辺りが空気で拡がっていくのを感じましょう。
これ以上吸えないと感じたら鼻から空気をからだの外に出します。
息を吐き切ったら2回目の吸気。
今度は室内の空気をなるべくたくさん吸い込むイメージで、その空気を胸いっぱいに入れましょう。
胸がパンパンになったらその空気がからだの外へ出ていくイメージで、鼻からゆっくり息を吐きましょう。
からだの中から空気が全てなくなったら3回目の吸気。
先ほどよりもよりたくさんの空気がからだに入ってきます。
鼻から吸って、お腹のあたりまで空気が入ってくるのを感じましょう。
お腹が膨らんでこれ以上空気が入らないと感じたら、その空気を全て鼻から外へ出します。
からだの中から空気が外へ全て出るのを感じ取ったら4回目の吸気。
今度も先ほどよりもたくさん吸い込むイメージで、その空気が骨盤の底にまで届くのを感じます。
これで胴体は全て空気で満たされます。
それを感じ取ったら、その空気を全てからだの外へ、鼻から吐き出しましょう。
からだが空っぽになったら最後の吸気。
目一杯、からだを満たすように部屋中の空気を取り込みましょう。
新鮮な空気でからだが満たされ、あなたのからだはこのワークを始める前よりも若返っています。
そして全ての空気をからだの外へ排出します。
ここからはただ感じ取るだけ。
鼻から空気が出たり入ったりするのを感じ取ります。
最初に息を吐き続けられる時間を計測したように、また時間を測ってみましょう。
どうでしょうか?
きっと自然と長い時間吐き続けられるようになっているはずです。
呼吸が穏やかになったということは、副交感神経が働いている証拠。
この時、心拍数も落ち着いているはずですから、こころが穏やかになっているのが感じられるはずです。
呼吸に関わる筋肉も適切に使われたことで、特に胴体部分の筋肉は緊張感がなくなっているかもしれません。
無数のバリエーションが存在する「呼吸の感知」
今回ご紹介したやり方はあくまでも一例です。
実際のからだの状態に合わせて無数のバリエーションが存在しますす。
お仕事の内容や性格、運動歴等を考慮して、あなたに最も適した「呼吸の感知」で「自己内部探訪の旅」に出ましょう。
本当に自分のこころとからだにあった方法を知りたい方は、是非直接ジムへお越しください。